art-tokyo

文体

「私は単に機能的な文体というものを、
単に感覚的な文体と同様に愛さなかった。」

「私は何よりも格式を重んじ、冬の日の
武家屋敷の玄関の式台のような文体を好
んだのである。」

「私の文体はつねに軍人のように胸を張って
いた。そして、背をかがめたり、身を斜めに
したり、膝を曲げたり、甚だしいのは腰を振
ったりしている他人の文体を軽蔑した。
姿勢を崩さなければ見えない真実がこの世に
はあることを、私とて知らぬではない。
しかしそれは他人に委せておけばすむことだ
った。」

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