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論語

論語
孔子bc552-479
kohshi

「論語」(1)

<三省>
曾子(そうし)の曰(い)わく、
われ日に三(み)たび吾が身を省(かえりみ)る。
人の為めに謀(はか)りて忠ならざるか、
朋友と交わりて信ならざるか、
習わざるを伝うるか。

曾子が言った。
私は、日に三回反省する。
人に真心で接したか、
友に対して誠実であったか、
受け売りを、教えなかったか。

「論語」(2)

<学問を愛するとは>
子のたまわく、君子は食飽かんことを求むること無く、
居安からんことを求むること無し。
事に敏(びん)にして言に慎しみ、
有道(ゆうどう)に就きて正す。
学を好むというべきのみ。

孔子が言った。
君子は満腹を求めない。
安楽な家に住もうと思わない。
仕事に励み、言葉を慎み、
正しい人の言うことで自分を正すならば、
本当の学問好きといえる。

「論語」(3)

<君子の交わり>
子のたまわく、
君子は周(しゅう)して比せず、
小人は比して周せず。
孔子が言った。
君子は広く親しんで一部の人におもねる
ことはないが、
小人は一部でおもねって、広く親しまない。

「論語」(4)

<勇気について>
子のたまわく、
その鬼(き)に非ずしてこれを祭るは、
諂(へつら)いなり。
義を見てせざるは、勇なきなり。
孔子が言った。
祭るべきものでないものを祭るのは
へつらいである。
行うべきことを前にして行わないのは
臆病(おくびょう)ものである。

「論語」(5)

<礼について>
林放(りんぽう)、礼の本(もと)を問う。
子のたまわく、大なるかな問うこと。
礼はその奢(おご)らんよりは寧(むし)ろ
倹(けん)せよ。
喪(も)はその易(おさ)めんよりは寧ろ戚(いた)め。
林放が礼の根本についてたずねた。
孔子が答えた。大きな問題だ。
礼は質素にして、弔(とむら)いは
万事ととのえるよりは、いたみ悲しむことだ。

「論語」(6)

<粗衣粗食>
子のたまわく、
士、道に志して、悪衣悪食を恥ずる者は、
未だ与(とも)に議(はか)るに足らず。

孔子が言った。
道を志す人で粗衣粗食を恥じるものは
ともに語るに足りない。

<利益を求め過ぎるな>
子のたまわく、
利に放(よ)りて行えば、怨み多し。

孔子が言った。
利益ばかり求めていると、
怨(うら)まれることが多い。

「論語」(7)

<正義と利益>
子のたまわく、
君子は義に喩(さと)り、
小人は利に喩る。
孔子が言った。
君子は正義に明るく、
小人は利益に明るい。
<慎ましい人は失敗少なし>
子のたまわく、
約を以てこれを失する者は、鮮(すく)なし。
孔子が言った。
慎ましくしていて失敗する
ような人は少ない。

「論語」(8)

<昔のことに縛られるな>
子のたまわく、
伯夷(はくい)・叔斉(しゅくせい)、
旧悪を念(おも)わず。
怨み是(ここ)を用(もっ)て希(まれ)なり。
孔子が言った。
伯夷・叔斉は、昔の悪事をいつまでも
とがめることはなかったので、
怨まれることも少なかった。

「論語」(9)

—楽>好>知—
子のたまわく、
これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。
孔子が言った。
知っているのは、好むことに及ばない。
好むことは、楽しむことに及ばない。

「論語」(10)

<知者は楽しみ、仁者は長生き>
子のたまわく、
知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。
知者は動き、仁者は静かなり。
知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。
<くつろいだ孔子>
子の燕居(えんきょ)、申申如(しんしんじょ)たり、
夭夭如(ようようじょ)たり。

孔子のくつろいでいる様子は、
のびやかで、にこやかである。

「論語」(11)

<孔子の教え>
子、四つを以て教う。
文、行、忠、信。

孔子が教えてくれた四つのこと。
読書・実践・誠実・信義。

<頑固と尊大>
子のたまわく、
奢(おご)れば則ち不遜、倹なれば則ち固(いや)し。
其の不遜ならんよりは寧ろ固なれ。

孔子が言った。
人は、贅沢すれば尊大になり、倹約すると頑固になる。
私は頑固のほうが尊大よりはましだと思う。

「論語」(12)

<君子と小人>
子のたまわく、
君子は坦(たいら)かに蕩蕩(とうとう)たり。
小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)たり。

孔子が言った。
君子は平安でのびのびしているが、
小人はいつでもくよくよしている。

「論語」(13)

<孔子の四絶>
子、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。

孔子は四つのことを絶った。
勝手な心をもたない。
無理をしない。
執着しない。
我をはらない。

<器用貧乏>
吾れ少(わか)くして賤(いや)し。
故に鄙事(ひじ)に多能なり。
君子、多ならんや。多ならざるなり。

私は若いとき、貧乏だったから、
いろんなことを出来るようになった。
君子は多能であるべきか。いやそうは思わない。

「論語」(14)

<知者は惑わず>
子のたまわく、知者は惑(まど)わず、
仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。

<仁の要点とは>
顔淵、仁を問う。
子のたまわく、礼に非ざれば視ることなかれ、
礼に非ざれば聴くことなかれ、
礼に非ざれば言うことなかれ、
礼に非ざれば動くことなかれ。

顔淵が孔子に仁の要点を質問した。
孔子が答えた。
礼に外れたことは見ない、聴かない、言わない、しない
ことだ。

「論語」(15)

<聡明とはなにか>
子張、明を問う。
子のたまわく、
浸潤(しんじゅん)の誹(そし)り、膚受(ふじゅ)
のうったえ、行われざる、明と謂うべきのみ。

子張が孔子に聡明とは何かと質問した。
孔子が答えた。
人を動かすような悪口や訴えに動じないならば
聡明といってよいだろう。

「論語」(16)

「論語」に「愛」という文字が出てきたのには、驚い
た。
何故なら、日本で「愛」という言葉が使われるように
なったのは、明治時代になって、キリスト教の影響に
よってだと思っていたからだ。
論語は明治以前から読まれていたのにどうして「愛」
は広まらなかったのだろうか?

<仁・知について>顔淵第十二、六巻二十一
はん遅(ち)、仁を問う。
子のたまわく、人を愛す。知を問う。
子のたまわく、人を知る。

ハンチが孔子に仁とは何かと質問した。
孔子が答えた。
人を愛することだ。
知とはなにか。人を知ることだ。

「論語」(17)

<つきあいたい相手>
子のたまわく、中行(ちゅうこう)を得てこれに
与(くみ)せずんば、必ずや狂狷(きょうけん)か。
狂者は進みて取り、狷者は為さざるところあり。

孔子が言った。
中庸(ちゅうよう)の人とつきあえないならば、
狂人か狷人とつきあいたいものだ。
狂人には、進取の精神があり、狷人には節義があって
しないことを残しているからだ。

注:狷:ひきこみがちで慎重な

「論語」(18)

<政治の要点>
子路(しろ)、政(せい)を問う。
子のたまわく、
これに先きんじ、これを労す。益を請う。
曰わく、倦(う)むことなかれ。

子路が孔子に政治とは何かと質問した。
孔子が答えた。
率先すること、ねぎらうことだ。
そして、怠ることがないようにしなければいけない。

「論語」(19)

誰でも、いい上司の下で働きたいと思っている
のだろうが、果たして凡人にとっての良い上司
とは?

<人事担当者の憂鬱>
子のたまわく、君子は事(つか)えやすくして
説(よろこ)ばしがたし。これを説ばしむるに
道を以てせざれば、説ばざるなり。
その人を使うに及びては、これを器(うつわ)にす。
小人は事(つか)えがたくして、説ばしめやすし。
これを説ばしむるに道を以てせずといえども、説ぶ
なり。その人を使うに及びては、備(そな)わらんこ
とを求む。

孔子が言った。
君子には仕えやすいが喜ばせるのは難しい。
道にあわなければ喜ばないし、人も適材適所に使う
からだ。
小人には、仕えにくいが、喜ばせるのは簡単だ。
道に反していてもかまわないし、人の使い方も
適正を見ることなく何でもさせるからだ。

「論語」(20)

<弱いものほどよく吠える>
子のたまわく、
君子は泰(ゆたか)にして驕(おご)らず、
小人は驕りて泰(ゆたか)ならず。

孔子が言った。
君子は落ち着いていばらないが、小人は
いばって、落ち着きがない。

<公務員に告ぐ>
子のたまわく、
士にして居を懐(おも)うは、以て士と為すに
足らず。

孔子が言った。
安住を求めているようでは士人とはいえない。

「論語」(21)

<君子は下賤な仕事には向かない>
子のたまわく、
君子は上達(じょうたつ)す。
小人は下達(かたつ)す。

孔子が言った。
君子は高尚なことに通ずるが、
小人は下賤なことに通ずる。

<困窮の風景>
子のたまわく、君子固(もと)より窮す。
小人窮すればここに濫(みだ)る。

孔子が言った。
君子だって困窮する。しかし小人が困窮する
と破滅する。

「論語」(22)

<唯我独尊>
子のたまわく、
君子は矜(きょう)にして争わず、
群して党せず。

孔子が言った。
君子はプライドがあるが争わない。
大勢といても、自由である。

<過ちはあやまちにあらず>
子のたまわく、
過(あやま)ちて改めざる、
これを過ちという。

孔子が言った。
過ちをしても改めないことを過ちというのだ。

「論語」(23)

<君子は貧乏には無頓着>
子のたまわく、
君子は道を憂えて貧しきを憂えず。

孔子が言った。
君子は道のことを心配するが、貧乏には
無頓着である。

<教育とは>
子のたまわく、
教えありて類なし。

孔子が言った。
誰でも教育によって良くなる。

「論語」(24)

<仕事の向き不向き>
子のたまわく、
君子は小知すべからずして、大受すべし。
小人は大受すべからずして、小知すべし。

孔子が言った。
君子は小さな仕事はむかない。
小人は大きな仕事はむかない。

「論語」(25)

<よい友、わるい友>
子のたまわく、
益者三友、損者三友。
直きを友とし、諒(まこと)を友とし、多聞を
友とするは、益なり。便辟(べんぺき)を友と
し、善柔を友とし、便佞(べんねい)を友とす
るは、損なり。

孔子が言った。
よい友達、正直な人、誠実な人、もの知りな人。
悪い友達、体裁ぶった人、へつらう人、口だけ達者な人。

「論語」(26)

<君子の三戒>
子のたまわく、
君子に三戒あり。少(わか)き時は血気未だ定まらず、
これを戒むること色にあり、その壮なるに及んでは血気
方(まさ)に剛なり、これを戒むること闘にあり。
その老いたるに及んでは血気既に衰う、これを戒むる
こと得にあり。

孔子が言った。
君子には三つの戒めがある。
若いときは、女で、壮年になれば争い、
老いたれば、欲である。

「論語」(27)

<君子は思う九つのこと>
子のたまわく、
君子に九思あり。視るには明を思い、聴くには
聡を思い、色には温を思い、貌(かたち)には
恭を思い、言には忠を思い、事には敬を思い、
疑わしきには問いを思い、怒りには難を思い、
得(う)るを見ては義を思う。

孔子が言った。
君子には九つの思うことがある。
見るときにははっきり見たいと思い、
聴くときにはこまかく聞き取りたいと思い、
顔つきはおだやかでありたいと思い、
姿はうやうやしくありたいと思い、
言葉は誠実でありたいと思い、
仕事には慎重でありたいと思い、
疑わしいことには問うことを思い、
怒りにはあとのめんどうを思い、
利得を前にしたときには道義を思う。

「論語」(28)

<世渡り五ヶ条>
子張、孔子に仁を問う。
子のたまわく、
能く五つの者を天下に行うを仁と為す。
これを請い問う。のたまわく、恭寛信敏恵なり。
恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、
信なれば則ち人任じ、敏なれば則ち功あり、
恵なれば則ち以て人を使うに足る。

子張が孔子に仁とは何かと尋ねた。
孔子が言った。
次ぎの五つの行いが出来れば仁といえる。
恭(うやうや)しく、
寛(おおらか)で、
信(まこと)があり、
機敏で、
恵み深い。
恭であれば、侮られることはなく、
寛であれば、人望が得られ、
信があれば、頼りにされ、
敏であれば、仕事がはかどり、
恵であれば、上手に人が使える。

「論語」(29)

学問をしないと、ヤバイ!というお話。

<六言の六蔽(へい)>
子のたまわく、
由よ、なんじ六言の六蔽(へい)を聞けるか。
こたえて曰く、未だなし。居れ、吾れなんじに
語(つ)げん。
仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚。
知を好みて学を好まざれば、其の蔽や蕩(とう)。
信を好みて学を好まざれば、其の蔽や賊。
直を好みて学を好まざれば、その蔽や絞(こう)。
勇を好みて学を好まざれば、其の蔽や乱。
剛を好みて学を好まざれば、其の蔽や狂。

孔子が由(ゆう)に六言の六蔽を語る。
仁が好きでも学問をしないとバカになる。
知が好きでも学問をしないと、とりとめがなくなる。
信がすきでも学問をしないと、盲信し、人を害する。
真っ正直でも学問をしないと、窮屈になる。
勇ましくても学問をしないと、乱暴者になる。
剛(つよ)くても学問をしないと、道を外れる。

「論語」(30)

<君子だって、人を悪(にく)む>
子貢問いて曰わく、君子もまた悪(にく)むこと
有りや。
子のたまわく、
悪(にく)むことあり。
人の悪を称する者を悪(にく)む。
下(しも)に居て上をそしる者を悪む。
勇にして礼なき者を悪む。
果敢(かかん)にして窒(ふさ)がる者を悪む。
子貢が孔子に尋ねた。君子というものは悪(にく)む、
ということがあるのでしょうか?
孔子が答えた。有る。それは、
人の悪口を言う人、
上司、年長者をけなす人、
勇ましくても礼儀がなっていない人、
はっきりしているが、常識がない人。

「論語」(31)

<女子と小人養いがたし>
子のたまわく、
唯(た)だ女子と小人とは養ない難しと為す。
これを近づくれば則ち不遜なり。
これを遠ざくれば則ち怨む。

孔子が言った。
女と俗物は扱いにくい。
関われば、無遠慮になり。
関わらなければ怨まれる。

<四十にして惑わず>
子のたまわく、
年四十にして悪(にく)まるるは、
其れ終わらんのみ。

孔子が言った。
四十にもなって憎まれているような者は
見込みがない。

「論語」(32)

<言い訳>
子夏が曰わく、小人の過つや、必ず文(かざ)る。

子夏が言った。
俗物が過ちを犯すと、必ず言い訳をする。

<君子の風景>
子夏が曰わく、君子に三変あり。
これを望めば厳然たり、
これに即(つ)けば温なり、
其の言を聴けば辧覆呂押砲掘

子夏が言った。
君子というものは、離れて見ると厳(おご)そかで、
近づけばおだやかで、
その言葉を聞けばきびしい。

「論語」(33)完

<天命を知る>
孔子のたまわく、命(めい)を知らざれば、以て君子たる
こと無きなり。礼を知らざれば、以て立つこと無きなり。
言を知らざれば、以て人を知ること無きなり。
孔子が言った。
天命が分からないようでは君子とはいえない。
(利害に左右される。)
礼が分からないようでは立ってはいけない。
(動作がでたらめになる。)
言葉が分からないようでは人を知ることはできない。
(だまされやすい人になる。)

 

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