ゴッホと日本
「日本の芸術を研究していると、賢者でもあり哲学者でもあり、しかも才気煥発の一人の人間が
見えてくる。・・・彼(日本人)は、ただ草の葉
の形をしらべているのだよ。しかしこの一枚の草
の葉から、やがてすべての植物を描く道が開かれ
る、それから季節を、田園の広い風景を、動物を、
人間を。彼の生活は、こうして過ぎていく。
そしてすべてをやるには、人生は短すぎるのだ。
みずから花となって、自然の裡に生きている単純
な日本人たちが、僕らに教えるものは、実際、宗
教と言ってもいいではないか。
僕は思うのだが、君がもし日本の芸術を研究する
なら、もっと陽気に、もっと幸福にならなければ
だめだ。・・・僕は日本人がそのすべての制作の
うちに持っている極度の清潔を羨望する。・・・
彼らの制作は呼吸のように単純だ。」(ゴッホ)