読書三大事件(吉本隆明)
「いままでの読書の体験のうち、恐ろしい精神的な事件のような読み方をしたのは、十代の半ばごろ
読んだファーブルの「昆虫記」と、二十代のはじめ
ごろ読んだ「新約聖書」と、二十代の半ばごろ読んだ
「資本論」であった。」
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人間が昆虫の観察のために一生を費しうるのだという
ことを「昆虫記」を通じて知った。
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「新約聖書」を理解した日本の文学作品としては、
太宰治の「駆込み訴へ」が、最上のものではないか
と考えている。
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わたしは「資本論」を千年に一度くらいしかあらわれ
ない種類の書物だとおもう。」