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古典を残す(柳宗悦)

「先生(大拙)は早くから古典的禅籍を立派な
永久的な善本で出版することに熱意を注いで
来られた。・・・・
もとより、先生にとっては、本文が大切なので、原典を
吟味し、選択されたのはもとよりだが、書物としてこれ
が永久に保存されて、古典がこの地上に永く大切にされ
るように心入れをされているのである。
先生を禅の鴻学として尊ぶ人は大勢いるが、
先生の学者としての一生の半面に、こういう
善本の刊行への並々ならぬ熱意があることを
知っている人は少ないのではあるまいか。
・・・・
先生自身の本が粗末極まるものが多いのに
比べて大変面白い事実だと私(柳)には
思われてならぬ。
これにつけても、いつか先生の著作の
(少なくともその或るものを)善本にして
残すのは、われわれの仕事だとも感じられて
ならぬ。
・・・・
早くから、先生の学生の一人であった私は、
幾分なりとも東洋的自覚にたって、先生の
衣鉢の幾分かを継いで、先生の恩に報いたい
念いに強くかられる。」
(「春秋」1959 12 柳宗悦)

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